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01世界へと飛躍した職人の足もと。

最高級茶筒司・開化堂6代目 八木隆裕

100年後も使えるものを作るのが本当の職人。

開化堂の創業は明治8年。初代が考え出した手作りの製法によって生み出される最高品質の茶筒を140年以上ものあいだ変わることなくいまに受け継いでいる。塗装のない地を生かした開化堂の茶筒は使うごとに肌になじみ、手擦れによるまろやかな風合いや手ざわりが感じられるようになるのだ。

「いいものを作れるというだけでは職人とはいえない」。6代目・八木隆裕氏のものづくりへの思いは、この言葉に凝縮されているといっていいだろう。また彼は「先代から受け継いだものを、次世代にきちんと渡すことができて初めて職人と言える」とも語っていた。100年後も同じものを作り続けていられるか?100年後にも現在と同じように修理することができるのか?自分たちが技術を引き継ぐだけでなく、使う人が100年使い続けられるよう考えて作るのが、本当の職人の仕事なのだ。彼はいま、そう考えている。

そうした哲学は、彼がものを見定め、選び、買う時の基準にも重なっていく。「長く使えるものこそが良いものである」。ファスト・ファッション的なものはあまり好きじゃないという八木氏は、見た目より着心地や使い勝手、長く付き合えるアイテムであるかどうかを優先する。シンプルでふだん使いができて長く使えること。それはそのまま彼自身がものづくりをする時の基準と似ているといっていいのかもしれない。

毎日使うものだからこそ、本物を選びたい。

履いた瞬間はちょっと大きいかな?と思ったという八木氏。しかし履いていくうちに自分の足の形にスーッと馴染んでいくのがわかった。「この履き心地はけっこう衝撃的でした。よく革靴を買うときにお店の人に『最初は硬いと感じても馴染んでくるので』とキツキツの靴を履かされるじゃないですか?でもこのBluestoneはそんなこともなくすぐに馴染んでくれました」。また手に持った際に感じた重みを実際に履いてみるとまったく感じないことや、紐がずれないのでくくり直しが要らないこと。こうした目に見えるスペックだけではなく、履いた時のことを考えて作られている「職人の仕事」が随所に隠されていることが彼にはすぐにわかった。間違いなくこれは本物だ。

「だからこそ、この靴はやっぱりふだん使いで履きたいんですよね」。散歩したり、スケボーしたり、運転したり。履きこむほどに出てくる味わいや、ゆっくりと足に馴染んでいくのを楽しむ。本物であるがゆえに、とっておきではなくふだんから身につけたい。八木氏はそう語った。

自分らしさは育てるもの。靴だって同じだと思う。

「たとえば今日は細めのジーンズだったのでボリュームのあるソックスに合わせたんですけど、ちょっとしたアイテムの合わせ方によってガラッと印象が変わるのもいいですね。かっちりした服にも合うし、ゆったり目のジーンズでも合わせやすそうなので、とにかく履いていて楽しくなるスニーカーだと思います」。ラフなジーンズファッションでもシックなスーツスタイルでも、洗練されたコーディネートで知られる八木氏らしい視点である。

また天然の藍を使っているから色味が一定ではないことも彼のお気に入りポイントだという。いまの世の中では均一化されて同じものを求められる風潮があり、八木氏自身も「納品したものがサンプルと違う」と言われ、歯がゆい思いをすることがあるらしい。しかし、そもそも手作りなのだから、ひとつひとつ違って当たり前。違いを楽しみ、自分らしさへと育てていくことが最も贅沢なことだとわかってほしい。ものづくりに対する八木氏の思いは、そのままBluestoneの主張とも重なる。だから彼は、値段はまったく気にしないのだという。たとえ安いものでも半年で履きつぶしていたら結局は同じこと。だったらはじめから品質の良いもの、長く使い続けられるものを買って、使い込んでいく楽しさも味わえる方がいい。これもまた彼自身のものづくりの哲学とBluestoneとで共通するところでもあるといえるだろう。

「よく保つ」を楽しめる唯一無二のスニーカー。

手入れをし、修理して、長く履き続けたくなるスニーカー。八木氏はBluestoneをそう言い表した。「傷がついてもいつの間にかすっと馴染んで目立たなくなってることに驚きました」。八木氏が指摘したように、通常の革靴は表面にケミカルの膜で加工を施すため、傷がつくとその膜を剥がす形で傷が残ってしまい、致命傷になることが多い。しかしBluestoneはあえてお化粧を一切施さないスッピン仕上げ。もし傷がついても履き続けていくことで脂がまた浮き上がってきて自然にカバーリングしてくれるのだ。「それが本来の革の良さですものね」と八木氏。手で作る。古いものの中に新しい技術を取り入れていく。使っていく中で自分の中で価値が上がっていく。「そういう感覚で作られたスニーカーというのはいままでなかったんじゃないですか?」。自分の仕事と重ねるように八木氏は足元を見つめながらそう言った。

そして最後に八木氏は、敬愛する職人の方に教わり、彼自身が大事にしてきた「よく保つ」という言葉について語った。保つというのは単に現状維持というふうに捉えることもできる。しかし「よく保つ」という言葉は、もっと幅広い意味を表現しているのだそうだ。それはひとつのことを続けることであり、続けるためによりよく変えていくことでもあり、補修し、改善し、長く伝えていくことをも表す言葉なのだ。そして彼は続けて「Bluestoneも、作り手と使い手が一緒になって『よく保つ』ことを楽しめるスニーカーですよね」と言って笑った。世界の名だたるブランドやデザイナーから賞賛された八木氏に認められたことは、すなわちBluestoneが世界品質であることの証でもあるといえるだろう。

八木隆裕(最高級茶筒司・開化堂6代目)

1974年京都生まれ。京都産業大学外国語学部英米語学科卒業。国内のみならず海外での評価も高くミラノサローネをはじめ多くの世界的イベントに出展。またプライベートではヨーロッパ車のレースに出場したりスケボーを趣味にするなどアクティブな一面も見せる。2016年5月に開化堂カフェをオープン。伝統工芸の中にあってつねに新たなチャレンジを続けている。